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貝塚市の屠場に行ってきました。

Posted at 11/11/02

またまた、
本の話ではないですが、大阪まで屠場の見学に行ってきました。
貝塚市という岸和田の隣にある、大阪の南部にあるところです。

貝塚市には今年で閉鎖予定の屠場があり、昔ながらのノッキング法でやっていること、
北出さんというご兄弟2人とその奥様の4人ですべての行程をやるという、
現在の大規模屠場ではされていないやり方ということもあり、
屠場の歴史を残すためにも、閉鎖する前に見学会をやろう、
ということになったそうです。
それで、写真家の本橋成一さんからのお誘いがあり、
今回屠場の見学に行くことになったのです。

以前から、屠殺のことは、本や映像で知識として知っていた部分がありました。
けれど、芝浦屠場に見学に行っても、「枝肉」になった部分しか見せてもらえませんでした。
すべての行程、というのは公開していないのが現状なのです。
しかし、今回はすべての行程を生まれて初めて見られるのです。
楽しみにしながらも、どきどきして、屠場へ向かいました。

貝塚屠場は、驚くほど小さな屠場でした。
全体の敷地も、テニスコートほどしかありません。建物はもっと小さいです。
昭和38年に建てられたコンクリートの建物ですが、屋根からの採光もあり、
窓も大きくとってあり、明るくてきれいな屠場です。
住宅地の中にあり、隣は保育園になっていました。

牛は、気持ちを落ち着かせるために、
前日に北出さんのおうちに併設された牛舎まで運んでおきます。
朝8時半、625キログラムの黒い雌牛を北出さんの牛舎から歩いて引っ張って、屠場まで来ました。
屠場の建物に入れると、牛をノッキングというハンマーで額を叩くのです。
実際に見るまでは、牛が命を絶たれる「その瞬間」を怖くて見られないのではないか、
と考えていたのですが、そんなことはなかったです。
北出新司さん(お兄さん)が、一発で仕留めました。
牛は即座に倒れて、解体が始まります。
頭をとり、それから、体の皮をきれいに剥いでいきます。
皮とお肉の境目を、きれいに剥いでいくその様は、職人芸と言うしかなく、
見ていてほれぼれするほどでした。
北出さん兄弟が息を合わせて、少しずつ枝肉(皮をむいて、背割りという背中を二つに割った状態)にしていきます。
その間、チェーンソーを使ったのは、背骨を切るときだけ。
後はすべて手作業です。ナイフも2,3種類しか使いません。
五〇分ほどでそれが終わると、今度は、外へ出て、
きれいに1枚になった皮に塩をまいて、保存できる状態にしていきます。
皮の内側に塩を刷り込んでいくというのでしょうか。
きれいに塩を刷り込み終わると、屋根のついた保管室に運びます。
牛の皮はどんどん値崩れして、運ぶことや塩代を考えると、ほとんど儲けがないそうです。

屠殺には、獣医さんが立ち会います。今回も4人の獣医さん(府の職員の方)がいらっしゃいました。脳や内臓の一部を南港へ運んで、BSEなどの検査をするそうです。
それでOKが出て初めて、出荷が認められると言うことです。
それまでお肉は、一晩冷蔵庫で「お泊まり」です。
貝塚屠場には専従の獣医さんがいないので、屠殺があるときだけ、隣の屠場から出向されるそうです。


貝塚の屠場は、貝塚市立です。
室町時代頃の動物の骨が出てくる場所だそうで、当時からその場所で
弱った馬をお肉にする、というようなことをしていたようです。

今までなぜ見られなかったのか、なぜ社会科見学で屠場に行かないのか、不思議なくらい自然なことでした。
お魚を食べるために捌くのと、何ら変わらないことでした。
とにかく行ってよかったです。
みなさんも、機会があればぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。
小林

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